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2014年1月28日 (火)

がじゅまる×みんくるコラボ企画「知的障がい者と医療の間のバリアを考える」

さる2014年1月28日に、みんくるプロデュースと知的障がい児・者の医療を考える会がじゅまるさんとのコラボ企画「知的障がい者と医療の間のバリアを考える」を開催しましたsun

場所は、本郷の老舗レストランカフェ「金魚坂」で、みんくるカフェとしては初めて使わせて頂きましたが大変素敵な場所で大満足でした。
大変雰囲気の良い空間のなか、参加者13名とスタッフ4名で、コーヒーを飲みながら対話の時間を過ごしました。

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ゲストスピーカーは、がじゅまる代表で医師でもある高木佐知子さんと、横浜市職員で社会福祉士でもある江原顕さんでした。


cloverまずは、江原さんから障がいの定義や分類の話。
江原さんは横浜で長らく障害福祉に従事している専門家で、
「私は障害のことが大好きで、2時間でも3時間でもしゃべってしまいます!」
という面白い方です(実は、みんくる代表の孫と大学同期です)。

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障害には、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病などいくつもあり、新しい障害の分類が次々と生まれているとのこと。
およそ日本の全人口の1割が何らかの障害を抱えているそうです。
また、知的障害は法律で定義がはっきりしていないというのも問題だそうです。

近年の大きな動きとして、世界保健機関が提唱する国際障害分類が、国際生活機能分類になったことです。
これは、何かが欠如しているというマイナスからではなく、生活機能という大きな枠組みでその人を見ることへの変化だそうです。
また、障がいの捉え方が、障がいはその人に帰属する「医学モデル」から、社会がその人に負わせている「社会モデル」に変化してきているそうです。
社会的概念としても、「リハビリテーション」(障がい者を健常者にさせる)から、「ノーマライゼーション」(障がい者に健常者と同じ機会を提供する)へ、そして最近ではさらに「ソーシャルインクルージョン」(障がい者と健常者が共生する)へと大きく変化してきている中、日本ではまだ入所施設での処遇が多かったり、障がい者に対する誤解が多かったりして、健常者と障がい者の共生はまだまだ進んでいないとのことでした。


clover次に、がじゅまる代表の高木さんのお話です。

高木さんは、知的障がい児や障がい者が医療にかかるときの問題点について、知的障がいの具体的な現状などから分かりやすく説明してくれました。

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まず発達障がいと違い、知的障がい者は周囲に起こっていることを理解できなかったり、普通のコミュニケーションが成り立たなかったりします。
実際の医療現場(外来診療など)では、実は診断のために必要な情報のほとんどは問診から得られます。その「問診」という部分で、まず困難なことが多いのです。
また採血や予防注射という痛い検査も耐えられないことが多いし、例えば検査や治療の説明と同意(インフォームドコンセント)も、健常者を前提として説明文書などが作られていますが、そこにも困難がつきまといます。
また「病気の受容」は、病気が「なぜ」起きたのかを自分なりに理解することで耐えられるわけですが、そこが、知的障がいの場合理解できないので、病院に行くこと自体を拒否したりします。
こうした知的障がい者の現状については、医療関係者にもあまり理解されておらず、問題行動が起きたりするだけで、診療を拒まれるということも少なくないそうなのです。

そんな中、歯科では先進的な取り組みが始まっています。
歯学部では、障がい者の歯科診療についての教育が行われています。
また「障害歯科」という専門科もあり、障害歯科専門の歯科医がいるそうです。
そして「心身障害児者歯科診療協力医療機関」が整備されており、障がい児・者に対応できる歯科診療が実現しているのです。
それに比べ、医科では教育から全く進んでいないという現状を高木さんは嘆いておられました。

cherry高木さんの言葉で「理解力そのものが低い人には、医療は冷たいのではないか」という言葉が印象的でした。


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後半は、参加者とともにワールドカフェを行いました。
テーマは3つで
1) 障がい者と医療の間の問題を解決していくためには?
2) 障がい者の現状を広く知ってもらうためには?
3) 障がいから考える、住みやすい社会とは?

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以下に対話の一部を紹介します。

one「障がい者と医療の間の問題を解決していくためには?」のテーブルでは、
・「病院=痛み」という刷り込みの「解きほぐし」が難しい。
・ある病院では拘束具を使わないで、3ヶ月かけて変化させた。そういった組織ぐるみでの取り組みが重要。
・国をあげての指針作成や法整備も大事。
・診療の場で使えるいろんなツール(痛みや辛さを伝えるための絵カードなど)を、病院側だけでなく患者側からも作成していきたい。

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two「障がい者の現状を広く知ってもらうためには?」のテーブルでは、
・「物語」や「メッセージ性」がある方が、普段障がいと関わりがない人にも伝わりやすい。
・見えにくい障がいのことを生活レベルに落とし込んで伝える。
・草の根的な活動、地域ごとの活動で広げて行くほうが良いのではないか。
・地域でのサロンや地域に開かれたようなイベントを開催する。
・障がい者と一緒に働いたり、一緒に過ごす機会を増やす。

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three 障がいから考える、住みやすい社会とは?
・いろんな専門家やサポーターがいるが、その人たちをネットワーク化していく。
・暮らしの中で、まちレベルで情報を共有して、住みやすい社会にしていく。
・障がいを持っていても堂々と社会に出て行けるような社会。
・障がいを持っていることを地域の人に知ってもらう取り組み。
・周りに障がい者がいる方が、障がい者と共生するための価値観ができる。
・障がいの現状や対応を企業も学びサポートする(障がい者が持つ知恵を活用するという発想転換)。

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最後の江原さんの話で「障がいの社会モデルは、障がいは社会が解決していくものであり、専門家だけではなく市民全体で取り組む必要がある」という言葉が印象的でした。

今回も大変貴重な話題提供をしてくれた江原さん、高木さんに心から感謝しております。
また参加された皆さんも、まことにありがとうございました。

(そんそん)

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アンケートより一部感想を紹介します。

pencil 障がいは誰にも起こりえるのに、高齢者になるということほど、自分ごととして捉えられない。現状では私だって少なからず偏見を持っている。もっと学ぶ機会、触れる機会が必要。
pencil 利用者本人にどう自分の力をつけて頂くかということは考えていたけれど、自分が社会に対して何ができるかということは考えていなかった。そういう視点が落ちていた。
pencil 普段は専門家だけで考えている問題だが、いかに一般市民を巻き込むかを考えるきっかけになった。
pencil 障がい者とともに遊び、語り、汗を流すなどの体験が不可欠。
pencil 一般の方といきなりの話し合いの中でも、これだけ深く考えてもらえるものかと感動した。
pencil やはり「考える場」を作ることで、大きな効果が得られるのではないかと気づいた。

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